パニック症候群



(診断と克服のための対処法の説明)

1.はじめに

最近は「パニック症候群」と検索すると「パニック障害」の検索結果が出てきてしまいますので、困っている人もいるのではないかと思います。

症候群(しょうこうぐん)というのは、原因が良く分からないけれど、よく似た症状が見られる場合に、そのような症状の集まりに、とりあえず名をつけ、扱いやすくしたものだと言われています。

英語名で言えば、シンドロームということになるのだと思います。

このため、パニックシンドロームという言い方がされることもあると思います。

なお、過換気症候群の場合は検索しても過換気障害とは検索結果に出てこないのが不思議に思います。

いずれにしても、昔、「乗り物酔い」と言われていたものは、今であれば、パニック症候群と診断されると思います。

このページは「パニック症候群」というキーワードで検索した方の参考になればと思い、作成いたしました。


2.パニック症候群とは(診断の目安)

今、上にも書きましたが、この症状はパニック障害と呼ばれることが圧倒的に多くなっています。

また、過呼吸とか、過喚起症候群と呼ばれている症状も含まれると考えて良いと思います。

この症状は突然の動悸や、めまい、息苦しさでパニックになってしまうという形で現れることが多いものです。

なお、この症状は乗物に乗れないとか、外出出来ない、外食が怖い、留守番が不安など、いろいろな形で現れてきますが、いずれも、死の恐怖を直接的に感じるというところに特徴があると言えます。

対人恐怖症などの場合には、「社会的な死の恐怖」が背景にありますが、この症状の場合には、直接的な「死の恐怖」が背景にあると言って良いと思います。

動悸や、息苦しさでパニックになった時、このまま死んでしまったらどうしようと不安になってしまうのが、この症状の場合の、第一の特徴だと言って良いと思います。


パニック症候群の具体的な症状

下記の8種類が、パニック症候群の代表的な症状になりますので、自己診断に活用していただければと思います。

・急に心臓がドキドキし、心臓麻痺で死ぬのではないかと感じる。
・不安で電車やバスに乗ることが出来ない。
・不安で家族と一緒でないと外出できない。
・急に呼吸が苦しくなり、恐怖を感じることがある。
・不安で一人で留守番できない。
・突然、動悸が起こってしまう。
・吐き気がしてしまい外で食事が取れない。
・不安や恐怖心のため飛行機に乗れない。


なお、この症状に悩んでいる場合の一例を挙げますと、下記のようになります。



(パニック症候群に悩むTさんの例)

あるサラリーマンのTさんは、営業社員として常にトップに近い成績を上げていました。

毎日、夜遅くまで残業をし、休日も仕事の付き合いに費やすほど仕事熱心なTさんでしたが、ある朝、通勤電車の中で、突然、激しい動悸や息苦しさを感じ、不安になってしまいました。

心臓発作でこのまま死んでしまうのではないかと感じ、途中の駅で電車を降りてしまいました。

この日を境として電車で通勤している時に、たびたび動悸や息苦しさを繰り返すようになり、そのうち、「またあの苦しさが起きるのではないか」と電車に乗る前から意識するようになってしまいました。

そして、ラッシュ時間を避けて通勤したり、途中下車を繰り返すようになりました。

思いあまったTさんは、心療内科を訪れ、自分の症状がパニック症候群であることを知りました。

そして、病院で出してもらったSSRIという抗うつ薬と不安を抑える薬を飲むようになりました。

確かに薬を飲んで対処すると、いくらか不安が和らぐことを感じましたが、このまま自分は一生、薬を飲み続けなければならないのかと、今度は薬を飲み続けることに対しても不安を感じるようになりました。

しかし、薬を飲まないと、不安で電車にも乗れないということで、毎日、心の葛藤を感じながら過ごしているのです。




上に書かせていただいた例のように、パニック症候群に悩む人は、バリバリの営業マンなど、対人恐怖症に悩む人のように、人見知りするとか、恥ずかしがり屋という面が少なく、むしろ外向的に見える人が多いというのも自己診断のための1つの目安になると思います。


4.原因

今、上に書かせて頂いた例のように、たまたま通勤電車の中でパニック発作の症状を感じた事が「キッカケ」になると言って良いと思います。

これが「外的要因」といわれているものなのです。

そして、また、発作が起こったらどうしようと予期不安を感じ、以前発作をおこした場所を避けたり、外出を避け家にこもりがちになったりすることが多いものなのです。

これが不安に引きずられた気分本位の行動ということになるのですが、これがパニック症候群の症状を、ますます強くする原因だと言って良いと思います。

今はパニック症候群の原因を脳内の神経伝達物質のバランス異常だと考えるのが医学界の常識になっているようですが、後何十年かすれば、これが誤りだったということに気付く時が来るのではないかと思っています。


5.誤った方向の治療

今は心療内科や精神科の病院に行くと、SSRIなどの抗うつ薬の処方により対処されることが多いと思います。

これは、上にも書きましたが、今はパニック症候群の原因を脳内の神経伝達物質のバランス異常だと考えるのが医学界の常識になっているからなのです。

しかし、アメリカのある情報によれば、パニック症候群の原因を脳内の神経伝達物質のバランス異常にすれば、抗うつ薬を用いた治療で対処できるということで、製薬会社にとって非常にメリットがあるのです。

そして、このために、製薬会社と大学の研究室がグルになって論文を捏造したという話もあります。

最近、日本でもノバルティフォーマの降圧剤の論文捏造問題がニュースになりましたが、これは氷山の一角に過ぎず、すでに何十年も前から、ある話ではないかと思います。

しかし、こういう製薬会社や医学界の利権の犠牲になって、今は本来、薬を飲まなくても症状を克服していける人たちが、何年にも渡って薬を飲まされているように感じます。


6.克服のための対処法

パニック症候群は予期不安に引きずられて電車に乗ることなどを避けてしまうことで、ますます症状が強くなってしまうものなのです。

森田療法では、これを気分本位の行動と言っていますが、こういう気分本位の行動ではなく、不安や症状を感じながらも電車に乗るなど、目の前の「なすべきこと」を逃げずにこなすようにしていく対処法が大切なことになってくるのです。

これが森田療法で言っている目的本位の行動ということになり、症状克服のために大切なことになってくるのです。

ここでは、あまり詳しい内容までは書きませんが、抗うつ薬などの薬で対処しなくても、森田療法の考えに沿って目的本位の行動を取るようにしていけば、少しずつ不安や症状に対する「とらわれ」が薄れてくるものなのです。

そして、この結果として、不安や症状を「あるがまま」に受け止めることが出来るようになれば、パニック症候群の症状を克服していけるものなのです。

ですから、これが症状克服のための最も効果的な対処法になると言って良いと思います。

※なお、この症状に関連する情報については、公益財団法人メンタルヘルス岡本記念財団のHPで医療機関の医師などの解説が載っています。



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