(原因と治療、克服についての説明)
1.はじめに人目が気になってしまい、ぎこちなくなるというのが視線恐怖症と言われている症状ですが、自分の視線や目付きが人からどう見られているかということが気になってしまう人も多いものです。これが自己視線恐怖症と言われている症状になります。 このページでは、今この症状に悩んでいる方の参考にして頂ければと思い、原因や克服の方法について具体的に解説させて頂きます。 2.自己視線恐怖症とはこの症状は自己視線恐怖とも呼ばれますが、例えば男性であれば、通勤電車に乗っている時に若い女性の足とか胸に視線が行ってしまうことも多いものです。しかし、このことで周りの人から不審がられたり、変に思われるのではないかと感じ、視線を向けないようにしようとすればするほど、逆に視線のやり場に困ってしまうといったこともあるものです。 しかし、ここに「とらわれ」が出来てしまうのが自己視線恐怖症の症状になります。 また、自分の目つきが悪いように感じ、人の思惑が気になってしまうという人も多いものです。 つまり、自己視線恐怖症とは、自分の視線や目つきが人からどう見られているかが気になってしまう症状なのです。 なお、この症状は正視恐怖や脇見恐怖症と重なる部分が多いと思います。 また、人からどう見られているかが気になる、つまり、人目が気になるという点で、視線恐怖症の一つの症状になると言っても良いと思います。 そして、大きな分類で言えば、対人恐怖症の症状に含まれるものだと考えて良いと思います。 3.自己視線恐怖症の具体例参考までに、自己視線恐怖症に悩んでいる時の具体例を挙げさせていたます。(自己視線恐怖症の具体的な例) 1.自分の目つきが怖いと思われているのではないかと感じ、相手の目をまともに見て話せない。 2.見てはいけない所に目を向けていると思われているように感じる。 3.自分の目線が相手に不快感を与えるように感じ、相手の顔を見られない。 4.1対1で話している時に視線の置き場に困る。 5.道を歩いていて人とすれ違う時に、どこに目を向けていいのか迷う。 6.電車に乗っている時に、どこに視線を持っていけば良いか分からない。 7.人と話している時に相手の顔を見る事が出来ず、反射的に目を閉じてしまう。 これらの例に心当たりがある方は自己視線恐怖症の可能性があると言って良いと思います。 4.原因対人恐怖症は自分が人からどう見られているか、変に思われているのではないかという不安に対する「とらわれ」が出来た状態だと言って良いと思います。自己視線恐怖症の場合も、大きな意味では、これと同じことになるのですが、もう少し厳密に言うと、自分の視線や目つきが他人から変に思われているのではないかという不安に対する「とらわれ」が出来た状態だと言って良いと思います。 そして、この「とらわれ」は、たまたま、友達から、自分の目つきが怖いと言われたような出来事があると、これが「キッカケ」になって起こってくるものなのです。 つまり、森田療法では「外的要因」と言っていますが、何らかのショックな出来事があると、これが「キッカケ」になり注意の方向が症状の方に向きやすくなるものなのです。 そして、自分の視線や目つきが周りの人から変に思われないようにと考え、サングラスをしたり、帽子をかぶったり、夜暗くなってからだけ外出するということも多いものです。 しかし、こういう行動を取ると、一時的には楽になれるのですが、これは森田療法で言っている気分本位の「はからい」の行動になってしまいますから、長い目で見ると、ますます自己視線恐怖症の症状を強くすることになってしまうのです。 そして、これが森田療法で言っている「内的要因」ということになると言って良いと思います。 そして、この「外的要因」と「内的要因」によって自己視線恐怖症の症状が起こり、強くなるということになるのです。 ですから、これが自己視線恐怖症の原因だと言って良いと思います。 5.誤った方向の治療今は、自己視線恐怖症の悩みのために心療内科などの病院に行くと、うつ病とか発達障害とか社会不安障害といった病名をつけられ、薬による治療をされることが多いと思います。しかし、これは「とらわれ」が原因になっている自己視線恐怖症の場合には、気分本位の「はからい」の行動になることですから、一時的には症状が改善したように思えても、長い目で見ると、ますます症状を強くすることになってしまうのです。 つまり、自己視線恐怖症の場合は、症状だけに目を向け、これを治そうとする方向の治療は、どんなものであっても誤った方向の治療になってしまうのです。 こういう意味で、病院の薬やサプリメントを飲んだり、鍼や指圧、催眠療法といった民間療法に頼るのも誤った方向の治療ということになると思います。 6.克服のヒント今までに説明させて頂いたように自己視線恐怖症の場合は他の病気や怪我の場合とは対応の仕方が異なってくるのです。つまり、症状だけに目を向けるのではなく、症状の裏に隠された本来の欲求に目を向け、このために必要な行動を取るようにしていくことが大切になってくるのです。 具体的に言うと、自分の視線や目付きが気になりながらも目の前の、なすべきことを逃げずに一つ一つ、きちんとこなすようにしていくことが大切になるのです。 つまり、これが森田療法で言っている目的本位の行動ということになるのですが、これが自己視線恐怖症克服のための一番の近道になると言って良いと思います。 ※なお、この症状に関連する情報については、公益財団法人メンタルヘルス岡本記念財団のHPで医療機関の医師などの解説が載っていると思います。 |
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