赤面症


(原因と治療、克服についての解説)

1.はじめに

赤面症とは対人恐怖症の中でも非常に良く見られる症状であり、芸能人やタレントの中にも悩んでいる人がいるほどです。

このページは、今、赤面症に悩んでいる人が誤った方向の対処法ではなく、正しい方向の対処が出来るようにと考え公開させて頂きました。

ですから、このページの内容を参考にして、あなたの赤面症を治すためのヒントにして頂ければと思っております。


2.赤面症とは

恥ずかしい思いをした時などは誰でも顔が赤くなってしまいますが、この顔の赤みに対する「とらわれ」が出来た状態が赤面症だと言って良いのではないかと思います。

人前で顔が赤くなることで悩む、この症状は、人の視線が気になったり、人前で字を書く時に手が震えてしまったり、汗が異常に出てしまうといった対人恐怖症の症状の中でも、特に多く見られるものだと思います。

また、この症状は赤面恐怖症や赤面癖、赤ら顔とほぼ同じ意味になりますが、グーグルやヤフーなどのサイトから検索される方のために、あえて、ページを分けさせていただきました。

このため、赤ら顔のページと重複する部分があると思いますが、御了承頂ければ幸いです。

赤面症は基本的には、人前で顔が赤くなる、という形で現れる症状ですが、人によっては、頬が赤くなることが悩みだったり、耳たぶが赤くなることが悩みだったりと、赤くなる場所は人によって、それぞれだと言えます。

ただ、いずれの場合も、人前で顔が赤くなることで、周りの人から変に思われるのではないかとか、自分が相手に好意を持っていると勘違いされるのではないかとか、人から見下されるのではないかとか、考えていることが多いものなのです。

そして、このように考え、赤面症の症状を邪魔者扱いし排除しようとしてしまうことで、逆に、ますます赤面しやすくなってしまうものなのです。

また、中には赤面していることが人に気付かれないようにと考え、マスクやサングラスをしたり、メイクを濃くしたりしてしまうことも多いものです。

しかし、こういう対処法は森田療法で言っている、症状だけに目を向け、これを無くそうとする気分本位の「はからい」の行動になってしまうのです。

ですから、一時的には症状が気にならなくなったとしても、長期的には、ますます赤面症を強いものにしてしまうのです。

また、中には美容整形外科のような病院で顔の赤みを取るための手術をしてしまったり、漢方薬にすがってしまう人もいるようです。

しかし、これらも赤面症の症状だけに目を向け、これを取り除こうとする誤った方向の対処ということになってしまうと思います。

なお、赤面症の場合も、対人恐怖症に共通する、人から良く思われたいという強い欲求が症状の背景にあると言って良いと思います。

そして、このために人前で赤面してはならないと考えているものなのです。

つまり、人前で顔が赤くなることは人から変に思われたり、嫌われたりすることであり、絶対にあってはならないことだと考えているものなのです。

しかし、こう考えているところに「落とし穴」があると言って良いと思います。

つまり、人前で絶対に顔が赤くなってはならないという「とらわれ」が出来てるのが赤面症に悩んでいる時の特徴だと言って良いのではないかと思います。

また、赤面症は苦手な相手や自分にとって影響が大きいと思える相手に対して起こりやすい傾向があるものなのです。

具体的には会社の上司や学校の先生といった目上の人、恋愛対象になりうる人(例えば男であれば彼女になってもおかしくないと思える相手など)、同世代の異性、相性の合わない苦手な人などです。

こういう人に対しては、他の人よりも変に思われたらどうしようという不安が強くなるために赤面症の症状が起こりやすくなるものなのです。

これに対して、自分がどう思われても良いと思える家族とか親しい友達に対しては、赤面症の症状は起こりにくいものなのです。

ただ、赤面症の状態が強くなっている時は条件反射的に症状が起こり顔が赤くなってしまうため、本来、症状が出なくても良い家族とか親しい友達に対しても赤面しまうことがあるものなのです。

極端な例ですが、赤面症が酷くなっている時は自分の家で飼っている犬に対して顔が赤くなるという症状が出てしまうことがある位なのです。


3.具体的な症状の例

赤面症は具体的にはどういう形で現れるかをまとめてみました。

1.朝礼で一列に並んで立っている時に後ろの人の視線が気になり耳が赤くなってしまう。

2.授業中に周りの席の人から見られているように感じ顔が赤くなってしまう。

3.男子学生の場合、同級生の女子学生と話す時に頬が赤くなってしまう。

4.会社の朝礼当番の時に緊張し、赤面してしまう。

5.結婚式のスピーチの時に、あがってしまい顔が赤くなる。

6.仕事で得意先でのプレゼンテーション時に焦ってしまい顔を赤くしてしまう。

7.授業で当てられた時に赤くなる。

8.慣れない人と話す時に赤くなる。

9.仕事中、他の人から見られているように感じ、赤くなってしまう。

10.特定の人に対して赤くなってしまう。

11.気になる人の名前が出ただけで赤くなってしまう。

12.道で知り合いにバッタリ会った時に赤くなってしまう。

13.また、赤面したらどうしようという不安が消えない。

14.赤面症に効果があると言われているサプリを飲んでいる。



4.原因

赤面症は、たまたま授業中に指名された時に顔が赤くなり恥ずかしい思いをしたといった経験が「キッカケ」になり起こることが多いものです。

森田療法では、これを「外的要因」と言っていますが、こういう恥ずかしい思いをした経験が赤面症に悩むようになる出発点だと言って良いと思います。

そして、元々、神経質性格の特徴を持った人は、こういう経験があると、また、あの時のように赤面し恥ずかしい思いをしたらどうしようと不安を感じるようになってしまうものなのです。

これが森田療法で言っている予期不安ということになるのですが、この予期不安に引きずられて、自分の「やるべきこと」から逃げてしまうと、一時的には楽になれても、長期的に見ると、少しずつ赤面症の症状を強くすることになってしまうのです。

このように症状の不安から「やるべきこと」を避けてしまうのが森田療法で言っている気分本位の行動ということになるのです。

そして、こういう気分本位の行動を繰り返すことで、顔が赤くなることに対する「とらわれ」が出来、赤面症の症状を強くしてしまうものなのです。

ですから、ここに一番の原因があると言って良いと思います。


5.誤った方向の治療

さきほども書きましたが、赤面症に悩んでいる時は顔の赤みが人に気付かれないようにと考え、マスクやサングラスをしたり、メイクを濃くしたりしてしまうことが多いものです。

しかし、このように赤面症の症状だけに目を向け、これを無くそうとして取る行動は、さきほども書きましたが、森田療法で言っている気分本位の「はからい」の行動になってしまうものなのです。

そして、これが誤った方向の努力ということになるのです。

また、顔が赤くなってしまうことで悩み、心療内科などの病院に行き、赤面症と診断され、薬を処方されることも多いと思います。

中には多汗症と同様に神経の異常が原因だと診断され、交感神経遮断の手術による治療をされることもあると思います。

しかし、これらも対人恐怖症から来る赤面症の場合には誤った方向の治療ということになってしまうと思います。


6.克服方法(薬なしの治し方)

先ほども書きましたが、赤面症は脳とか神経の異常から起こる症状ではなく赤面に対する「とらわれ」から起こるものなのです。

つまり、赤面症に悩み「とらわれ」が出来ている時は、緊張したり、顔が赤くなって当然の時でも、これを異常なものとか、恥ずかしいことと考え、排除しようとしていることが多いものなのです。

そして、このために、ますます緊張や、赤面症の症状を強くしてしまうという「悪循環」に陥っているものなのです。

ですから、まず、赤面症に悩んでいる今は、緊張したり、顔が赤くなって当然なんだと受け止めるようにしていくのが、第一歩になると思います。

そして、この上で、森田療法の考えに従って目的本位に行動するようにしていくと、緊張や、赤面を必要以上に大きくしなくて済み、少しずつ症状が和らいでくるものなのです。

ですから、これが薬なしで赤面症を克服していく一番の方法になると思います。

※なお、赤面症に関連する情報については、公益財団法人メンタルヘルス岡本記念財団のHPで医療機関の医師などの解説が載っています。



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