赤ら顔


(原因と治療、対策についての説明)

1.はじめに

何かの拍子にポッと顔が赤くなることは誰でも経験することだと思います。

しかし、この顔の赤くなる状態が長く続き、このために周りの人から変に思われるのではないかと感じ、悩んでいる人も多いものです。

このように顔の赤くなる状態がある程度の時間続き、このために悩んでしまうのが赤ら顔ということになります。

なお、別ページで説明させて頂いた赤面症という症状も、この赤ら顔の一種だと考えて良いと思います。

このページでは、寒さや温度差で頬が異常に赤くなってしまうような、体質が原因である赤面症以外の赤ら顔も含めて解説したいと思います。


2.赤ら顔とは

顔が赤くなることで悩む赤ら顔には大きく分けて2つのタイプがあります。

1つ目は体質が原因だと考えられているものです。

体質が原因の赤ら顔の場合は、鼻の周りや頬の部分を中心にして赤くなりやすかったり、気温の変化に伴って赤くなることが多いものです。

そして、肌荒れ、ニキビ、脂漏性皮膚炎、アトピー、毛細血管拡張症、赤くすみ(色素沈着)、酒さ、血管腫などが原因で起こってくることが多いと言われています。

2つ目は精神的な原因だと考えられているものです。

精神的な原因の赤ら顔の場合は、赤面症のページでも書かせて頂きましたが、緊張や恥ずかしさに伴って耳たぶや首筋、頬などが赤くなりやすいものです。

そして、この場合は手のひらの異常な汗(手掌多汗症)や手の震え(本態性振戦)といった症状を伴うことも多いものなのです。

また、思うように話が出来なくなってしまうといった状態にもなりやすいものです。

また、体質が原因の赤ら顔の症状が出た事が「キッカケ」になって赤面症に変化することも多いように思います。

つまり、純粋な赤面症ではなく、体質が原因の赤ら顔の症状も同時に起こっているというケースも多いものなのです。

そして、この場合が、もっとも治療が困難になることが多いと思います。

これは、純粋な赤面症の場合であれば、「とらわれ」が原因であると割り切りやすいのですが、体質が原因の赤ら顔の症状が混ざってる場合は、割り切りにくくなるからなのです。

ですから、この場合は、薬などの治療と並行して森田療法の学習をしていくことがポイントになってくると思います。


3.具体的な症状の例

赤ら顔は具体的にはどういう形で現れるかをまとめてみました。

1.大勢の人の前でスピーチする時に顔が赤くなってしまう。

2.寒い時期になると鼻先や頬が赤みをおびてくる。

3.肌荒れの後で顔中に強い赤みが出てしまった。

4.ニキビがなかなか治らず、色素が沈着し顔が赤みをおびてしまった。

5.脂漏性皮膚炎が「キッカケ」で、顔が赤みを帯びるようになった。

6.アトピーの治療後に色素沈着を起こして赤ら顔になってしまった。

7.洗顔のし過ぎで顔の皮膚が薄くなり、赤みを帯びるようになった。

8.更年期を迎えてから吹き出物と共に顔の赤みが出てきた。

9.肝臓の病気をしてから顔の赤みが気になるようになった。

10.アルコールの飲みすぎから顔の赤みが取れなくなった。



4.原因

体質から来る赤ら顔の場合は、
1.皮膚の薄さ、
2.気温の変化による毛細血管の拡張のしやすさ、
3.ニキビやアトピー、化粧かぶれなどによる炎症、
4.脂漏性皮膚炎などの皮脂による炎症、
5.アルコールや香辛料の過剰摂取、
6.真性多血症による中枢神経系の血液循環障害、
といったものが原因になると言われてます。

これに対して精神的な原因から来る赤ら顔の場合は、たまたま授業中に指名されて答えを言った時に顔が赤くなり恥ずかしい思いをしたといった経験が「キッカケ」になることが多いものです。

また、体質から来る赤ら顔の症状が起こった時に、これは大変だ、どうしようと感じてしまうと、これが「キッカケ」になって顔の赤さに注意が向きやすくなるものなのです。

そして、何とか顔の赤みがなくなるようにと考え、皮膚科に行って薬を飲んだり、レーザー治療をしたり、ファンデーションやクリームといった化粧品を色々試したりすることが多いものです。

さらに、また顔が赤くなって恥ずかしい思いをしたらどうしようと考え、人と接する機会を避けるようになってしまうことも多いものだと思います。

しかし、こういう赤ら顔の症状だけに目を向け、これを無くそうとして取る行動は森田療法で言っている気分本位の「はからい」の行動ということになってしまうのです。

そして、気分本位の「はからい」の行動を取ると、一時的には症状が気にならなくなるのですが、こういう行動を繰り返すことで、ますます赤ら顔の症状を強くしてしまうものなのです。

ですから、ここに赤ら顔の原因があると言って良いと思います。

つまり、何らかの恥ずかしい思いをしたといった出来事や、体質から来る赤ら顔の症状が起こったことが「キッカケ」だと言って良いと思います。

そして、この後で、顔の赤みをなくしたり隠そうとして色々な行動を取ってしまうことで、ますます赤ら顔の症状を強くしてしまうということなのです。

なお、こういう神経症的側面の強い赤ら顔は、心配性や完璧主義、負けず嫌いといった神経質性格の特徴を持っている人の場合に起こってくるものなのです。

ですから、神経質性格の特徴を持っているかどうかが、最も根本的な原因になると言っても良いと思います。


5.誤った方向の治療

上に書かせていただいたような体質から来る赤ら顔の場合は、皮膚科の病院に行き、薬とかレーザーなどの治療を行なうことが大切になると思います。

また、洗顔の仕方とか、マッサージ、ファンデーションやパックといったお化粧やメイクの仕方に注意していくことも大切になってくると思います。

しかし、神経症的側面の強い場合は、こういう体質から来る赤ら顔の場合には好ましい治療や対策でも、逆にマイナスに影響してしまうことが多いものなのです。

ここが非常にやっかいな部分なのですが、赤ら顔の症状に対する「とらわれ」が出来てしまった後は、上に書かせていただいたような治療や対策は取らないようにしていくことが大切になってくるのです。

つまり、赤ら顔の症状だけに目を向け、これを治そうとする対策を取ってしまうと、これは森田療法で言っている気分本位の「はからい」の行動ということになってしまい、ますます「とらわれ」を強くすることになってしまうのです。


6.対策(薬なしの治し方)

神経症的側面の強い赤ら顔の状態になったら、これ以降は薬などの治療に頼らず、森田療法の考え方に沿って目的本位に行動していくことが、最も良い対策になると思います。

つまり、顔の赤みを感じながらも、薬を飲んだり付けたりといった行動は取らず、目の前の「なすべきこと」を1つ1つ、きちんとこなすようにしていくことが大切になってくるのです。

これが森田療法で言っている目的本位の行動ということになるのです。

こうしていく中で目的本位に行動する癖がついてくると、これに比例して症状に対する「とらわれ」が薄れてくるものなのです。

そして、こうなれば、この結果として、赤ら顔の症状が治ってくるものなのです。

ですから、これが最も良い治し方であり、対策になると思います。

※なお、赤ら顔に関連する情報については、公益財団法人メンタルヘルス岡本記念財団のHPで医療機関の医師などの解説が載っています。



トップへ   前ページ   次ページ