(症状と診断、克服のための方法) 1.恥ずかしがり屋とは 内気で照れ屋な人のことを、恥ずかしがり屋と呼ぶことが多いですが、はにかみ屋で、言いたいことを言えないような性格を持った人のことを指す事が多いと思います。 なお、恥ずかしがり屋な人は人見知りの傾向も強いと思います。 幼児や子供の頃から、照れやすく恥ずかしがり屋な傾向というのは見られるものだと思います。 そして、成長するにつれて、こういう傾向は薄らいでくることが多いのですが、大人になっても照れやすく、恥ずかしがり屋な傾向が続いてしまう人も多いものなのです。 そして、こういう人は恋愛や結婚がうまくいかないことも多いように思います。 このページで取り上げている恥ずかしがり屋というのは、こういう対人恐怖症やアガリ症レベルの極端な場合になります。 恋愛中の女性が、私の彼氏は恥ずかしがり屋だからといった使い方をする場合は、むしろプラスの意味合いが強いことが多いですが、対人恐怖症やアガリ症レベルの場合には恋愛に発展することもないものなのです。 人前で恥ずかしがったり、照れてしまう、人に気を使うということは、誰にでも多かれ少なかれあるものですが、これが過度に強くなり、慢性的に起こるようになったのが、極端な神経症レベルの恥ずかしがり屋の状態だと言って良いと思います。 そして、こういう状態になっている時は、下記に挙げたような対人恐怖症に悩んでいる時に見られる症状を同時に感じていることが多いものなのです。 なお、極端な恥ずかしがり屋の原因が、うつ病や統合失調症、発達障害、アスペルガー症候群といった病的な場合もあると思いますので、この点は注意が必要だと思います。 |
<恥ずかしがり屋で悩んでいる時に起こりやすい症状> ・人前に出ると上がってしまい緊張し苦しくなる。 ・大勢の人前で緊張し顔が赤くなってしまい辛い。 ・人の視線が気になり窮屈になる。 ・自分の目線が人を不快にさせていように感じる。 ・話している時など相手の目を見られない。 ・自分が見てはいけないと思う所に視線が行ってしまう。 ・顔の強張りのために人から変に思われていると感じる。 ・笑う時に顔がひきつってしまう。 ・自分の容姿が醜いように感じ気になってしまう。 ・唾を飲み込む音が聞こえ周りから変に思われる。 ・人前で緊張し汗が沢山出てしまうことが辛い。 ・大勢の人前で話す時などに声や手足が震えてしまう。 ・周りに人がいると電話に出るのが辛い。 ・話している時に自分の言いたいことが言えなくなってしまう。 ・自分の体の臭いが人に迷惑をかけているように思う。 ・人中で、おならが出てしまい嫌がられる。 ・物がなくなった時に自分に疑いをかけられるようで不安。 ・電話で話す時などに最初の言葉が出にくい。 |
2.神経症レベルかどうかの診断(チェックポイント) このページを見ている人の中には、今、自分が恥ずかしがり屋で人間関係が上手くいかないと悩んでいる人もいるのではないかと思います。 そして、このために、自分が、うつ病とか発達障害ではないかと不安になっている人もいるのではないかと思います。 こういう人のために、恥ずかしがり屋の原因がどこにあるのかを診断するための簡単なチェックポイントを書かせていただきます。 上記のカッコ内にまとめたような症状があり、心配症や内向的、負けず嫌いといった神経質性格の特徴を持っている場合は、うつ病とか発達障害ではなく神経症が原因になっていると考えて良いと思います。 ですから、これをチェックし、診断してみると良いと思います。 なお、自分が、うつ病とか発達障害、アスペルガー症候群ではないかと悩むような人も、神経症の場合がほとんどだと思います。 つまり、本当の、うつ病や発達障害、アスペルガー症候群の場合には、自分がそうだったらどうしようと悩むようなことはないものなのです。 3.克服のための方法 恥ずかしがり屋の原因が神経症である場合は、完全欲の強さや心配性といった神経質性格の特徴が、その根底にあると考えて良いと思います。 人から変に思われたらどうしようと心配になり恥ずかしくなることは、誰にでも多かれ少なかれあるものです。 しかし、これが過度に強くなり、常に、人の思惑に注意が向いてしまっている状態が神経症レベルの恥ずかしがり屋に悩んでいる状態だと言って良いのではないかと思います。 強迫性障害(OCD)の場合は、自分自身の「精神的な死の恐怖」が、その背景にあるものなのです。 また、パニック障害の場合は、動悸や息苦しさのために、このまま死んでしまうのではないかといった「直接的な死の恐怖」があるものなのです。 しかし、恥ずかしがり屋の場合は、社会から落ちこぼれたり人間関係が崩れるといった「社会的な死の恐怖」がその根底にあると言って良いのではないかと思います。 このため、神経症レベルの恥ずかしがり屋を治療し、克服していくためには、「社会的な死の恐怖」をいかに「あるがまま」に受け止めていくかがポイントになってくると思います。 今は神経症レベルの恥ずかしがり屋の場合でも薬物療法だけで治す傾向がありますが、この方向の治療では根本的な克服には至らず、症状の一時押さえになってしまうように思います。 つまり、精神科や心療内科、神経科といった病院に行くと、すぐに薬で治す方向になってしまいますが、こういう薬は神経症レベルの恥ずかしがり屋の場合、人前での緊張や不安を一時的に抑えるだけに過ぎないと思います。 これはちょうど、お酒を飲んだ時に一時的にリラックスし、人前でのアガリや緊張、不安を感じにくくなるのと同じことだと思います。 そして、このために、現在では神経症レベルの恥ずかしがり屋の症状のために、何年にも渡って薬を処方され、いわば薬漬け状態にされている人が増えているように思います。 ですから、こういう状態にならないためにも、森田療法の学習により、神経症レベルの恥ずかしがり屋の症状を根本的に治療していった方が良いのだと思います。 神経症レベルの恥ずかしがり屋の症状は森田療法の考えが身に付いてくれば、これで充分、改善してくるものなのです。 ※なお、恥ずかしがり屋に関連する情報については、公益財団法人メンタルヘルス岡本記念財団のHPで医療機関の医師などの解説が載っています。 |
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