社交不安障害


(症状と原因、治療、克服のための方法)

1.はじめに

社交性がなく、仕事やバイト先の人間関係がうまくいっていないことで悩んでいる人も多いことと思います。

このページでは、このように、今、現在、職場や学校、近所付き合いなどの人間関係に悩んでいる人に参考にしてもらえればと思い作成いたしました。

人前で緊張してしまい雑談などが上手くいかないということで人間関係に支障をきたす悩みの場合、以前は対人恐怖症と言われることが多かったのですが、最近は、このページのタイトルでもある社交不安障害と呼ばれることが多くなってきたように思います。

これはアメリカの医学界の影響で病院での精神疾病の診断基準が変化したためなのですが、社交不安障害などと言われると、自分が重病になってしまったと誤解してしまう人も多いのではないかと思います。

しかし、社交不安障害は、もともとは対人恐怖症と言われていた神経症の一種ですから、病院の薬を飲まなくても自助グループやメールカウンセリングを通して森田療法の学習をしていく中で充分、克服していけるものなのです。

ですから、このページやサイトの内容を参考にして、ご自分の悩みが社交不安障害の症状に当てはまるかをチェックして頂ければと思っております。


2.どういう症状か(チェック法)

社交不安障害は、2008年に日本精神神経学会において新しく取り入れられた病名になります。

以前は、社会不安障害やSADという名称が使われていました。

また、さらにこの前は対人恐怖症や、アガリ症と言われていた症状になります。

つまり、対人恐怖症やアガリ症の症状が今は社交不安障害と呼ばれるようになってきたということなのです。

ですから、トップページの1で書かせていただいたような症状があるかどうかで自分の悩みが社交不安障害かどうかのチェックが出来ると思います。

これらの中でも、仕事中とか学校の授業中に人前で顔が赤くなってしまうという赤面症や、人前でサインのする時に手が震えてしまうという本態性振戦、人と話をしている時に異常に汗をかいてしまう緊張型多汗症、視線のことが気になってしまう脇見恐怖症といった症状が、特に多く見られます。

そして、社交不安障害の症状に悩んでいる時は、自分が人から変に思われたらどうしよう、いじめられたらどうしようといった不安に引きずられて、誤った方向の行動を取っているものなのです。

つまり、仕事先や学校など、人前で顔が赤くなるのを目立たなくするためにマスクやサングラスをかけたり、手の震えを避けるために人にサインを頼んでしまったりしているものなのです。
(これが森田療法で言っている気分本位の行動ということになります。)

そして、人と接するような機会から逃げてしまうことが多いものなのです。

しかし、社交不安障害に悩む人は、本当は人から好かれたり、人と仲良く接したいという強い欲望を持っていますから、症状に引きずられ人を避けてしまうと、一時的には楽が出来ても、徐々に心が満たされない状態に陥ってしまうものなのです。

つまり本当は人と接したいのに、この本心とは裏腹に人を避けているというのが、社交不安障害に悩んでいる時の典型的な状態だと言って良いと思います。


3.どうして症状が起こるのか(原因)

会社の上司や学校の先生、自分と年の近い異性などを前にすれば緊張したり不安になったりしてしまうことが多いものなのですが、社交不安障害に悩むような人は、このような感じて当然の緊張や不安を異常なことだと考え、邪魔者扱いし排除しようとしているものなのです。

そして、この結果、苦手な人と接する機会から逃げてしまうことが多いものなのです。
(これが森田療法で言っている気分本位の行動ということになり、症状を強くする最大の原因だと言って良いと思います。)

しかし、このように緊張や不安、症状を感じないようにと考え、気分本位に行動してしまうと、その時には楽が出来ても、少し時間が経ってから後悔や「後ろめたさ」といったマイナスの感情を抱くことになってしまうのです。

そして、こういう気分本位の行動の繰り返しの中で、ますます緊張や不安、症状が強くなり、この結果として、社交不安障害の症状を強くしてしまうものなのです。

ですから、ここに原因があると言って良いと思います。

なお、トップページでも書かせていただいたように、社交不安障害の症状には色々な種類がありますが、その人が、その時点で一番、重要だと思っているところに症状が起こってくるものなのです。

つまり、人前で顔が赤くなることを人から変に思われる恥ずかしいことだと考えている人は、人前での緊張や不安が刺激になって顔が赤くなる(赤面症)という症状が起こってくるのです。

また、人前でサインをする時に手が振るえてしまうのを、みっともないことだと考えている人は、手の振るえ(本態性振戦)という症状が起こってくるのです。

今は病院に行くと社交不安障害をセロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなどの脳内の神経伝達物質が原因であると言われることが多いですが、森田療法の立場からすると、これは全くのナンセンスということになります。

つまり、社交不安障害は不安や緊張、症状に引きずられた気分本位の行動の積み重ねの結果として出来た「とらわれ」が原因だからなのです。


4.どうしたら治せるのか(薬に頼らない治療、克服)

今、上に書かせていただいたように、社交不安障害の原因は人前での緊張や不安を邪魔者扱いし、排除しようとして気分本位に行動してしまうところにありますから、まず、この部分を修正していくことが大切になります。

人前での緊張や不安、症状を感じながらも目の前の「なすべきこと」を逃げずに、きちんとこなすようにしていくことが第一歩になるのです。
(これが森田療法で言っている目的本位の行動ということになります。)

つまり、人前での緊張や不安、症状に引きずられ「なすべきこと」から逃げてしまうと、その場では楽が出来るのですが、長い目で見ると、後から、ますます緊張や不安、症状を強くすることになってしまうのです。

そして、この積み重ねの結果、社交不安障害の症状がますます強くなってしまうのです。

ですから、繰り返しになりますが、人前での緊張や不安、症状を感じながらも、目の前の「なすべきこと」から逃げず、きちんとこなすようにしていくことが大切だと言えるのです。

このように目的本位の行動を取るようにしていけば、SSRIなどの抗うつ剤や抗不安薬を飲まなくても、社交不安障害の症状を治療し克服していくことが出来るものなのです。

ですから、これが薬に頼らない一番良い治療法になると言って良いと思います。

※なお、社交不安障害に関連する情報については、公益財団法人メンタルヘルス岡本記念財団のHPで医療機関の医師などの解説が載っています。



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